アイドライジング!

Book

第17回電撃小説大賞･金賞受賞作。
各社が科学技術を競い、その粋を集めて作ったバトルドレス。そのドレスを身にまとい、アイドル達が本気で戦う「アイドライジング」。主人公は高校生の女の子、アイザワ･モモ。とある事情により多額のお金が必要となったモモは、アイドライジングのオーディションに飛び込み、ミニステックスと言う会社と契約を結ぶ事に。早速デビュー戦に挑み...と言う感じに話が始まります。

主役クラスの登場人物は女の子のみ。女の子同士が本気で殴り合うバトル...と言ってもエンターテイメントの要素が強く、舞台の上では戦っても、一旦降りればアイドル達は普通に交流をするので、全然ギスギスした雰囲気はありません。最初はお金のためにアイドライジングに身を投じたモモが、徐々に勝負にのめりこんでいく展開は良かったです。プロデューサーと新人のモモが、アイドライジングで強敵に挑むために共に作戦を考え、仲を深めていく展開も良い感じ。また、登場するアイドル達はそれぞれ皆違う個性があり、どのキャラも立っているので、割と楽しめました。
しかし、どことなく柔らかい雰囲気が全体に漂い、緊張感があまり無かったのは残念。真剣にバトルをしていてもバトルドレスのお陰で怪我をする事は無いし、ライバルとして張り合うキャラもいないし、ちょっと都合の良い展開が続いた感じもしたし。それほど大きく話が進むような内容ではなかったので、モモがアイドライジングで戦っていく長い話の序章、と言った印象も受けました。設定は好きなので、今後の展開に期待。