イスカリオテ 6

楽しいはずのクリスマスから一転、最悪の危機を迎えた前巻。強烈な引きで終わった所からの続きです。
壬生蒼真と言う最悪の敵に加えて強力な《獣》。街全体が窮地に立たされ、反撃する力も充分には整わない。そんな窮地に立たされた状況で、イザヤが自ら救世主として立つ。救世主だった兄の替え玉として、嫌々ながら救世主のモノマネをしていたイザヤですが、巻を追う毎に考え方が変わり、遂にここまで!! 前巻から特に、その想いを強く感じましたが...仮面を投げ捨て、イザヤとして戦いに赴く姿は模倣でも何でもなく、正しく英雄そのものでした。
自分でも知らなかった壮絶な過去。普通ならば自分の存在価値そのものが揺らぎそうになるぐらいの事実を知っても、己を見失わずに立てたのは、この街で暮らした時間があったからこそでしょう。多くの人に会い、話し、そして築いた思い出と時間は、たとえどんな過去を持とうと無くなるものじゃない。その気持ちを胸に、英雄として前に進む姿に脱帽です。これは諫也でも勇哉でも無く、イザヤの物語。そう強く感じた1冊でした。
そしてノウェム。イザヤに対する気持ちが恋だと知り、慌てふためく姿が最高。周りの状況を考えると、それどころじゃ無いのかも知れませんが...一度目覚めた恋心は留まる所を知らない。寧ろこんな時だからこそ、その気持ちは前向きな力に変わり、ノウェムを強くする。恋って凄いなぁとシミジミ思わせてくれました。
さあこれで残るは1冊。どんな結末を迎えるのか、楽しみでなりません。