ココロコネクト ヒトランダム

第11回えんため大賞・特別賞受賞作。とある高校を舞台に、文研部に所属する男2人女3人合計5人の身体と魂がランダムに入れ替わってしまう現象が発生。時間を置けば元に戻るのだが...と言うお話です。

とても面白かったです。最初は入れ替わる事で起こるドタバタを書くコメディかと思っていたのですが、中盤以降はトラウマや悩みを抱えていて、その問題に入れ替わりを通じてお互いが気付いていく展開。とても青春ものでした。5人のうちの1人である主人公の活躍が良かったです。直面した仲間の悩みから逃げる事無く、真正面から捻じ伏せるかの如き力強さでぶつかっていく様が最高。人一倍の自己犠牲精神の裏返しなのかもしれませんが、それでも悩める仲間を前にキッチリと行動する所が好印象。主人公が頑張る話って、それだけで面白いです。
終盤に直面した問題も、どっちに転ぶのかは何となく分かるとは言え、それでもドキドキハラハラさせてくれました。極限状態でなされた会話の一つ一つが切なくて素晴らしかったです。綺麗な終わり方で満足。

と言う訳で、とても楽しめた1冊でした。今回のえんため大賞受賞作の中で、これが一番好きかも。