狼と香辛料

電撃の新人さんその4。第12回電撃小説大賞・銀賞受賞作です。
主人公は街から街へと品物を売って歩く行商人。ある夜、そろそろ寝ようかと馬車の荷台へと赴くと、そこに一人の少女が眠っていた。ホロと名乗り、狼の耳と尻尾を持つその少女は、実は麦の豊作を司る神で...。
こんな感じ。ある村の麦を豊作にする事を長年行ってきたホロが、その村と決別して故郷へ帰るために、主人公と共に旅に出るお話です。
これはすんげー面白かったです。今回の電撃小説大賞の中でダントツでお気に入り。とにかくホロと言うキャラが凄く魅力的に描かれているのが素晴らしい。見た目は少女だけど、実際には何百年と生きている狼の化身。その歳相応の振る舞いの中、たまに見せるあどけなさが何とも言えずに良い。さらに、ホロの古めかしい語り口調が話に妙にマッチしてツボ。これは良いものを読みました。
主人公が乗っかった、とある儲け話が少し複雑で理解するのに手間取ったけど、それ以外は殆ど気になる所も無く。文章自体もしっかりとしていて読みやすいし、時折描かれる、シンミリした展開もとても良かったし、特に終盤のホロと来たら...ホント面白かった。最高です。
と言う訳で、大満足な1冊でした。旅の先はまだまだ長そうなので、是非とも続編を。